農地法違反・盛土規制法違反の太陽光発電19件にFIT一時停止措置(2024年11月)
2024年11月25日、経済産業省は農地法違反・盛土規制法違反等に該当する太陽光発電事業19件に対し、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)に基づく一時停止措置を発動したと発表しました。
この発表は、営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)を含む太陽光発電事業者にとって、法令遵守の重要性を改めて示す重大な行政措置です。現在、同様の法的リスクを抱えている可能性がある事業者は、早急に自社の状況を確認する必要があります。
一時停止措置とは何か?事業者への影響を解説
FIT制度における一時停止措置とは、法令違反が認められた発電事業者に対し、認定を維持したまま売電収入(買取)を一時的に停止する行政上の措置です。違反状態が解消されない場合、最終的にはFIT認定の取り消しに至る可能性もあります。
今回の対象となった主な違反類型は以下の通りです。
- 農地法違反:農地転用許可を得ずに太陽光パネルを設置・運用している場合
- 盛土規制法違反:盛土を伴う造成工事において必要な許可・届出を行っていない場合
- その他関連法令違反:設備認定時の申告内容と実態が異なるケースなど
特に営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)においては、農地上に支柱を立ててパネルを設置する構造上、農地法との関係が複雑になりやすく、許可条件の遵守が厳しく問われます。
営農型太陽光発電が農地法違反となる主なケース
① 営農計画の未達・作物収量の著しい低下
農地転用の一時許可(3年ごとの更新)を受けた営農型太陽光発電では、申請時に提出した営農計画を適切に実施することが条件です。営農実態が乏しい、または遮光による収量低下が著しい場合、許可取り消しや農地法違反と判断されるリスクがあります。
② 無許可での転用・設備変更
当初の許可範囲を超えた設備の増設や、農地区分を無視した設置工事も違反対象となります。特に市街化調整区域や農業振興地域内農用地(いわゆる「青地」)では規制が厳格です。
③ 盛土・造成工事に関する規制違反
2023年に施行された盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)により、一定規模以上の盛土を伴う太陽光発電工事には新たな許可・届出が必要となりました。既存案件でも遡及的な確認が求められる場合があります。
違反が発覚した場合の出口戦略:3つの選択肢
農地法違反やFIT停止措置を受けた、または受けるリスクがある事業者が取り得る主な出口戦略は以下の3つです。
選択肢① 違反状態の是正・現状回復
行政指導に従い、営農計画の再整備・設備の是正・必要許可の取得などを行い、FIT認定の維持を目指す方法です。ただし、是正に要するコストや期間が大きい場合もあるため、費用対効果の検討が欠かせません。
選択肢② 事業譲渡・売却
違反リスクを抱えたまま事業を継続するよりも、専門のバイヤーや事業承継会社への売却・譲渡を検討するケースも増えています。ただし、法的瑕疵(かし)がある案件は査定額に影響するため、早期の専門家への相談が有効です。
選択肢③ 設備の撤去・原状回復
FIT認定が取り消された、または事業継続が困難と判断した場合は、設備の撤去・農地の原状回復を行う必要があります。撤去費用の確保や廃棄物処理の手続きなど、専門的な知識が求められます。
今後の行政動向と事業者が取るべき対応
経済産業省・農林水産省による太陽光発電の法令遵守チェックは、今後もさらに強化される見通しです。特に営農型太陽光発電については、農水省による定期的な営農状況の確認が義務付けられており、申告内容と実態の乖離が見つかれば行政処分の対象となります。
自社の案件が今回の19件のような措置を受けるリスクがないか、あるいはすでに行政指導を受けている場合は、一人で抱え込まずに専門家へ早期相談することが最善策です。
